派遣として働こうと考えている方、あるいは派遣として現在働いている方であれば、派遣法の改正という言葉を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
派遣として働くには、派遣契約期間について基本的な情報を知っておく必要があります。
この記事では派遣契約期間の決め方や契約方法について詳細をご紹介していきます。
派遣の仕組みやルールを知っておけば、どのような働き方ができるのか理解できるはずです。
ぜひ知識として得ておき、今後のキャリアに活かしてみてください。
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- 派遣社員は、同じ派遣先で働ける期間は最長3年と法律で決まっています。そして、その間にも一定期間ごとに面談を行い、契約を延長するかを決めるのです。
勤務態度の改善やスキルの向上により、少しでも長く続けることは可能です。派遣会社の担当者に相談をし、どう改善したらいいかを一緒に見つけていきましょう。
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目次
派遣とは?
派遣の契約期間について解説する前に、派遣という雇用形態についてご紹介していきます。
通常の雇用契約の「直接雇用」と比較して解説しますので、よく違いを把握してみてください。
「直接雇用」はその名の通り、就業先に直接雇用される契約ということです。
働く側から見ると、雇い主と働く先が同じ企業となり、そこから賃金の受け取りや福利厚生の利用を行います。
対して「派遣」という雇用形態の場合、就業先と雇用先が異なります。
雇用先が派遣会社となり、就業先はその派遣会社から派遣されて働きにいく場所(企業)となっています。
賃金や福利厚生を受けるのも派遣会社からとなることを理解しておきましょう。
就業先は、派遣会社に派遣スタッフの賃金と派遣手数料をまとめて支払います。
派遣会社は、派遣するために必要な手続きや研修講座、マッチングにかかった費用などを賄う派遣手数料を受け取ります。
そして派遣会社から派遣スタッフへ賃金が支払われるお金の流れになっているのです。
「直接雇用」であれば、すべてが同一企業から行われるためシンプルですが、派遣の場合2社が関わっていますので少し複雑に感じる方も多いかもしれません。
しかし、覚えてしまえば簡単です。
それぞれの企業がどのような役割なのかを理解しておけば、何かを交渉する際や仕事を決定する際に気をつけなければならないことなどをよく把握できるはずです。
派遣社員については、こちらの「派遣社員とは?働き方や正社員との違い、メリット・デメリットなど解説」でも解説しているので、あわせてご覧ください。
派遣契約期間はどのように決められるの?
派遣という雇用形態の仕組みをご理解いただけたところで、次に派遣契約期間のルールや、期間を決める場合の注意点についてまとめてご紹介していきます。
まずは法律で定められているルールについて知っておきましょう。
派遣法で決まっている最大契約期間とは?
2015年に改正された労働者派遣法では、派遣スタッフが同じ派遣先で働ける上限として3年という期間を定めています。
つまり、3年以上働きたいのであれば別の派遣先で勤務するようにするか、派遣先と直接雇用関係になるかのどちらかを選ぶしかないと決まっているのです。
これは、派遣スタッフが直接雇用される機会を作り、安定的な雇用を生み出すことなどを目的に改正されたといわれています。
この派遣法については、こちらの「派遣3年ルールの概要は?メリット・デメリットや働き方6つのコツを紹介」でくわしく解説しているので、是非ご覧ください。
派遣法で決まっている最短契約期間とは?
同じ企業の同じ部署で働けるのは、原則最長3年でしたが、最短の契約期間も派遣法にて決まっております。
労働者派遣法において、日雇での派遣契約は原則禁止とされていることから、最短期間は31日となっています。
ただし、一定の条件を満たす場合、30日以下での派遣契約が認められる場合もあります。
詳しい内容に関しては、「単発の派遣の期間は最低何日から可能?始める前に知っておきたい情報」をご確認ください。
派遣法改正で変わった点
1986年に労働者派遣法ができたときには派遣できる業務が限られていましたが、時代の流れと共に徐々に派遣できる業種が広がってきたことをご存じの方も多いはずです。
しかし急激な景気悪化の影響を受け、派遣切り(業績悪化に伴って派遣スタッフの大量契約打ち切り)などが行われました。
リーマンショック後に派遣切りが相次いだ結果、生活に困窮する方も増えたのです。
このような状況から、派遣スタッフを守るために2015年に行われた派遣法改正。
なかでも大きく変わったことが4つあります。
(1)26専門業務も含め、契約期間を原則上限3年に
これまで専門的な技術を持っていることを理由に、派遣期間の上限が設定されていなかった26業種の専門業務がありました。
その業種と一般的な業種に大きな違いがないこと、また、業種によって派遣契約期間の扱いが違うことで混乱しやすい状況が問題視されていたことを検討し、専門26業種に関わらず派遣契約期間を原則上限3年と定めたのです。
(例外は2つ存在。1つは派遣スタッフが派遣会社に無期雇用あるいは正社員雇用される場合、もう1つは60歳以上の派遣労働者の場合。)
(2)労働者派遣事業の許可制
これまで派遣事業には特定派遣と一般派遣の2種類がありました。
許可要件を満たせない事業者が特定派遣を名乗って一般派遣を行っているケースもあったため、すべての派遣事業を許可制に変更。
そしてキャリア形成支援制度も要件の中に加えました。
(3)雇用安定措置の義務付け
派遣期間が終了してから雇い止め(次の勤務先が見つからないまま)になる派遣スタッフが多く、雇用が安定しない状態を国は問題と捉え、雇用安定措置を派遣元(派遣会社)に義務付けました。
これにより、就業先で派遣スタッフを直接雇用してもらう依頼をすること、新しい就業先を提供すること、派遣会社で無期雇用を行うこと、その他安定雇用に必要な措置を行うなどの雇用安定措置を義務付けて派遣スタッフの雇用安定化を目指したのです。
(4)派遣スタッフに対する教育訓練・キャリアコンサルティングの実施義務付け
派遣スタッフは正社員雇用を希望している場合も多いですが、現状のままではそれが受け入れられるケースが少ないです。
その状況を打破するため、派遣会社に教育訓練とキャリアコンサルティングを義務付けました。
このように派遣スタッフを守ることを目指した内容が充実した派遣法が施行されていることを考えると、契約期間の延長や更新についても厳しい基準があることは想定できます。
契約期間の延長や更新について
派遣法ができてから、2015年の派遣法改正で変わった点などが理解できたところで、今後契約期間の延長や更新をする際に、知っておきたいことや注意点についてまとめてご紹介します。
最長3年の契約期間を延長・更新できる方法
最長3年の契約期間が法律で決められていることは前章でお話しましたが、この契約期間を延長・更新するには2つの壁を突破する必要があります。
1つは事業所側の制限、そしてもう1つは派遣スタッフ側の制限です。詳しくご紹介していきます。
事業所側の制限
事業所側の期間延長を行う場合は、事業所に勤める方の過半数で組織している労働組合に意見聴取を行うという方法があります(延長をする度に意見聴取が必要)。
意見聴取をした後には異議がある場合とない場合が存在します。
異議がある場合は異議に対してどういった対策を行うのか、派遣期間の3年を迎える前日までに説明する必要があります。
異議がない場合はそのまま延長が認められることとなります。
派遣スタッフ側の制限
1で事業所側の制限が突破できた場合でも、もう1つ派遣スタッフ側の制限を突破しなければなりません。
派遣スタッフが3年勤務継続をすれば、派遣会社は派遣先へ直接雇用依頼、就業先紹介、派遣会社での無期雇用契約、教育訓練実施などの措置を取る義務を負います。
派遣スタッフが3年の期間を超えても同じ事業所で勤務を続けたいと考えた場合は、1で事業所の期間延長を行い、それから働き先の「課」を変えるという方法で期間延長をすることができます。
期間延長するもう1つの方法としては、クーリング期間を設けるという方法があります。
3カ月以上(3カ月と1日)期間を空けていれば、同じ課でも働き続けられるのです。
しかし、クーリング期間に収入がない状態であること、期間を空けても再度勤務できるかどうかはわからないこと、そして同期間中は社会保険の適用外となるため、国民年金や国民健康保険に切り替える必要があることを考えると、選択肢に挙がってこない可能性が高いでしょう。
契約期間の延長や更新をしない場合
少し複雑な派遣契約期間の延長や更新についてご紹介してきましたが、これまでの説明で期間の延長や更新はかなり難易度が高いということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
ここからは、契約期間を延長や更新をしない場合に対応についてご紹介していきます。
契約期間を延長・更新しない場合、つまり同じ就業先での勤務が3年を超えた場合、下記3つの方法から選ぶのが一般的な方法となります。
(1)雇用安定措置のいずれかの選択肢から選ぶ
就業先へ直接雇用してもらえるよう依頼すること、別の就業先を紹介してもらうこと、教育訓練を実施してスキルアップし、よりよい条件の就業先を探してもらうことなどがあります。
(2)派遣会社に無期雇用派遣として雇われる
無期雇用は無期雇用派遣のことで、期間の定めがない雇用契約のことで、有期雇用派遣(期間の定めがある雇用契約=常用型派遣ともいう)を更新し続けて5年を超えると無期雇用派遣の申請ができるようになります。
(3)派遣会社に正社員として雇われる
無期雇用派遣と正社員との違いですが、期間については両方とも定めがないことで共通しています。
しかし、無期雇用派遣の場合は、直前(無期雇用切り替え前)の有期雇用派遣の内容(職務内容、勤務地、賃金、労働時間など)をそのまま踏襲することが前提となっています(他に定めていた場合はその限りではありません)。
これまでご紹介してきた内容で、派遣という働き方にまつわるさまざまなルール、そしてそのルールに基づいて自分はどんな働き方ができるのかということを想定できたのではないでしょうか。
何も知らないで就業先や派遣会社の指示に従っているだけでは、自分が本当にしたい働き方を手に入れることは難しくなる可能性もあります。
自分のライフスタイルを検討してみた結果、3年を超えた場合にどの方法を選ぶ方が希望の生活を送ることができるのかぜひ真剣に考えてみてください。
まとめ
派遣という雇用形態、そして労働者派遣法という法律で定められていること、時代による流れの変化から、派遣の契約期間の基本情報や延長・更新についての情報をまとめてご紹介しました。
あまり聞きなじみのないことも多いという方もいるかもしれませんが、派遣スタッフとして働くことを選ぶのであれば、きちんと自分の雇用を守れるよう、知識を備えておきましょう。
参考サイト:
・派遣の契約期間は最長何年か、3年が限度なのか|お仕事広場
- 最長3年を超えて働きたい場合は雇用形態を変えるのも1つの手段
- どうしても同じ職場で3年を超えて働きたい場合、無期雇用派遣に切り替えたり、派遣先企業と直接雇用を結ぶ必要があります。
具体的にどのような手続きをすればいいのか、自分で行動する前にまず、派遣会社の担当者に相談してみてください。きっとあなたにとって一番良い働き方をサポートしてくれるはずです。
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