フリーターには税金を支払う義務があるか、分からない人もいると思います。
また、払わなくてはならないのに支払えない場合はどうすればいいのか、払い忘れたらどうなるのかと不安になるでしょう。
ここでは、そんなフリーターが納める税金の種類や支払い方、支払わないとどうなるかなどを紹介していきます。
- フリーターで税金を払うのが厳しいなら派遣社員として働くのがおすすめ
- フリーターは給料が低めなうえに収入が不安定なので、税金まで払っていると生活が厳しくなってしまうこともあるでしょう。
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目次
フリーターとは
フリーターと聞いて、働いていない、定職についていないなど、あまり良いイメージがない方もいるかもしれません。
ですが、はっきりとフリーターとはどういう人のことを言うのかという説明も出来ず、あやふやではないのでしょうか?
実は、厚生労働省がフリーターとは何かを定義していることをご存知でしょうか?
簡潔に言うと「男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の方で15~34歳のパートやアルバイトで働いている、または働いていなくても、働く意志を持って就職活動をしている人」のことを指します。
こうして聞くと、フリーターという定義の対象は幅広いことが分かります。
フリーターについてさらにくわしく知りたい方は、こちらの「フリーターとは?ニートや正社員との違いやステップアップ方法を徹底解説」をあわせてご覧ください。
フリーターとして働くメリットやデメリット、正規雇用との違いなどを紹介しています。
フリーターに税金は発生するの?
早速ですが、フリーターでも税金が発生するのかの疑問にお答えします。
結論から言うと、原則、税金を払わなくてはなりません。
そもそも、税金には国民であれば支払うべき税金や、一定条件を満たしたら支払う義務が発生する税金があるので、20歳を過ぎたら税金を支払う義務が発生するのです。
フリーターが支払うべき税金
では、どんな税金を納めなくてはならないのかを紹介していきます。
所得税
所得に対して発生する税金で、原則年収が103万円以上(月収8.8万円以上)となった場合に支払義務が生じます。
フリーターの場合、給与支給時に雇用元から天引きされるケースがほとんどです。
ただ、毎月天引きされている所得税額は仮の金額で、正式な金額は年末調整時に計算されます。
※年末調整とは1年間(その年の1月1日~12月31日)の収入・所得控除額などを用いて、正式な所得税額を計算する作業のことです。
正式な所得税額よりも、天引き額が多かった場合は差額を納税者へ還付します。
また、天引き額が少なかった場合は差額を納税者へ追徴します。
住民税
都道府県・市区町村に対して支払う税金で「所得割+均等割」で納付額が決まります。
所得割は「対象課税額の10%」、均等割は「5,000円」です(自治体によって、金額が異なる場合もあります)。
対象課税額が100万円の場合は「(100万円×10%)+5,000円」となるため、住民税の年間納税額は10万5,000円となります。
ただ、調整控除額が発生する場合は年間納税額が減りますので、都度確認をしておきましょう。
税金以外にも保険料と年金は納めるべき
税金以外にも、保険料や年金は納めなくてはなりません。
どのくらいかかるのか、詳しく見ていきましょう。
健康保険料
健康保険料を支払うと、医療機関利用時の負担額が安くなるだけではなく、高額医療費制度も利用できます(自由診療は除く)。
健康保険料率は都道府県で異なるため、自分がどのくらい支払うのかを全国健康保険協会 協会けんぽの「都道府県毎の保険料率」よりご確認ください。
たとえば、東京都内での納付だと「月給×9.98%」ですが、福岡県内での納付であれば「月給×10.35%」が納税基準額です。
この数値は、介護保険料が発生しない40歳未満の人に適用しますが、40歳~64歳までの人はこの数値に介護保険料率1.60%を加えたものが適用されます。
社会保険加入の会社で働いている場合は、従業員と事業主が折半して支払うため、実質負担金額は半分で済むのです。
同じ都道府県内の市区町村でも、自治体によっては独自の保険料計算方法を設定しているケースもあるため、不安点がある人は納付先の保険年金課へ問い合わせてください。
ただ、フリーターやアルバイトで年収が130万円未満の場合は、親が社会保険加入者であれば親の健康保険の扶養になれます。
国民年金
国民年金は、20歳以上60歳未満の日本国内に住んでいる人が対象となる制度で、正社員やフリーター関係なく支払わなくてはなりません。
保険料は全国一律で、令和6年度は1ヶ月16,980円です。
国民年金については、こちらの「年金って何?基礎から年金受け取りまでを解説」でくわしく解説しているので、気になる方は是非ご覧ください。
条件が満たされれば義務が発生する税金
フリーターが支払わなくてはならない税金について紹介をしましたが、税金はそれだけでなく、条件を満たすと義務が発生する税金もあるのです。
ここでは、そんな税金について紹介します。
雇用保険料
この保険は、自分で手続きをするのではなく企業側が行うので、特別なことはしなくても大丈夫です。
雇用保険に加入していると、退職した際に失業保険が支給されますので、今日保険が適用される働き方をしましょう。
加入条件は、以下の2点に当てはまるかです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 雇用見込みが31日以上のある
雇用保険料は、一般事業に勤めている従業員は月給×1,000分の3、農林水産・清酒製造、建設事業に勤めている従業員は月給×1,000分の4を徴収されます。
失業保険は就職活動を安心してできるように支援してくれる保険なので、フリーターとして働くとしても、加入条件に当てはまるような働き方を目指すことをおすすめします。
ただ、雇用保険料については変動がありますので、厚生労働省「雇用保険制度」でどのくらいかかるのかを確認してください。
厚生年金
厚生年金は、条件を満たして働く人が対象の制度です。
厚生年金は月給の18.3%を納付することとなっていますが、企業側と折半するため実質負担率は月給の9.15%で済みます。
月給が上がるにつれて負担額も増えますが、同時に年金支給時の金額も増えます。
そして、2024年10月以降に関しては、以下の5つの条件を満たしていれば加入可能です。
- 学生ではない
- 月給が8.8万円以上
- 1週間の実働時間が20時間以上
- 2か月以上の雇用期間が見込まれている
- 務めている会社の従業員が常時51人以上いる
条件を満たせば国民年金だけでなく、厚生年金の分も加算されて定年後に年金が支払われるので、働くのであれば厚生年金に加入できる働き方をするのがおすすめですよ。
フリーターでも受けられる控除
どうしても税金を全て支払うのが大変な方は、控除を活用して納税額を減らしてみましょう。
控除とは、条件によって納税額を一定額差し引くことを言います。
ひとことで控除といっても、色々な控除があるのでどの制度が適用されるのか分からないかたもいるでしょう。
フリーターの方は、まずは以下3種類の控除を覚えておいてください。
- 基礎控除
- 扶養控除
- 配偶者控除
自分が今、どのくらいの年収があるのか、立場はなにかといった条件によって変わるので、それぞれの控除について簡単に説明をしていきます。
基礎控除
納税者本人の所得金額によって適用されるのが、この基礎控除です。
令和元年分より前であれば一律38万円でしたが、令和2年4月1日からは納税者本人の所得金額によって変わるようになったので、ご注意ください。
所得金額によって変わる控除額については、以下の表を参考にしてください。
所得金額の合計 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
たとえば、納税者本人の年収が340万円の場合は、控除額48万円が適用されるのです。
扶養控除
この控除は、納税者に控除対象となる扶養親族がいる場合に適用されます。
もし、親が納税者の場合はこの扶養控除がの対象となるのです。
ですが、それだけでは控除されるわけではなく、他にも年収が関係してきます。
たとえば、年収が103万円以下であれば所得税を支払わなくても良いのですが、それを超えると所得税を支払わなくてはなりません。
さらに、130万円以上になってしまうと社会保険も自分で払わなくてはならないのです。
このように、年収によっても変わってくるため、「扶養控除の壁を知らないと働き損になるかも!フリーターの所得税について」で扶養控除の仕組みを確認しておきましょう。
配偶者控除
納税者の配偶者(夫や妻)の年収が103万円以下であれば受けられる控除です。
控除額は最大38万円なのですが、納税者の年収によって控除額が減っていき、1,000万円を超えると控除額がなくなります。
納税者と配偶者の年収を確認し、控除を受けるために調整する必要が出てくるのでご注意ください。
税金が免除・軽減されるケースもある
労働時間や月給が少なかったり、解雇・病気・災害に遭ったりした場合は、税金が免除・軽減されるケースがあります。
ただ、免除・軽減対象の人は自身で手続きを行わなければなりません(例外もあります)。
なお、免除・軽減申請できる期間は決まっているため早めに対応することをおすすめします。
フリーターの税金の払い方は?
フリーターの税金の払い方は大きく分けて2つあります。
どんな払い方があるか見てみましょう。
会社で天引きされる
給料支給時に天引きされるパターンです。所得税、住民税、社会保険料などが控除されます。
原則、自身で納税処理をする必要はありません。
ただし、年度の途中で転職・退職をした人は、税金の納付処理を自身で行わなければならないケースもあります。
納税者本人が支払う
フリーターによっては、納税者本人が支払うケースもあります。
アルバイト先を退職した人や社会保険に加入せず働いている人などは、自身で納税しなければならない税金が発生するため自宅に納付書が届きます。
金融機関・コンビニなどで支払いできますが、納付期限を過ぎると使用できなくなる納付書を発行している自治体もあるため、納付書の有効期限にはご注意ください。
税金を支払うのがきつい場合の対処
経済的に税金を支払うのが厳しくて放置している人もいるのではないでしょうか?
しかし、税金の支払いを放置し続けると痛い目に遭う恐れがあるため危険です。
この章では、税金を支払うのが厳しい場合の対処法を紹介します。
【重要!】役所に相談する
一番重要なのは、役所に支払いが厳しい旨を伝えることです。
放置すると、知らないうちに資産を差し押さえられるケースもあります。
なお、役所の担当者には下記内容を伝えるようにしましょう。
(1)支払えない理由
支払えない理由を明確に伝えましょう。
例えば「解雇後生活を送っていたが貯金が尽きた」「ケガをして働けない」などです。
理由によっては、税金を免除・減免してもらえる可能性があります。
(2)支払う意志があること
支払う意志があることを伝えるのも重要です。
誠意を見せると、支払いに猶予を与えてもらえる確率が上がります。
(3)毎月支払える金額
月々に支払える金額を提示するのも大事です。
ただし、約束を破るとペナルティを受ける恐れがあるため、毎月確実に支払える金額を伝えましょう。
支払方法を決める
役所の担当者と話し合って支払方法を決めます。
支払方法は「(溜まっている税額を)一括払い」「(溜まっている税額を分けて支払う)分割納付」が一般的です。
ただ、分割納付については税額や滞納月数によっては断られるケースもあります。
分割納付をした場合、延滞利息が増えるケースもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
決められた期日内に支払う
後日、役所から納付書が送付されるため期日までに支払いましょう。
期日を破ると、一括納付請求を執行されるケースもあるのでご注意ください。
税金を支払わなかった場合どうなる?
前述では、税金を払わないと痛い目に遭う恐れがあることをお伝えしました。
この章では、税金を支払わなかった場合どうなるかを紹介します。
督促状が送付される
税金を滞納すると、役所から督促状が送付されます。
督促状には支払期日が過ぎているという旨だけでなく、資産差し押さえについての書面が同封されているケースもあります。
役所からの連絡がある
督促状を無視し続けた結果、役所から連絡が入るケースもあります。
自治体によっては、滞納者へ連絡をせずに担当職員が訪問する場合もあるので覚えておきましょう。
資産を差し押さえられる
滞納し続けた場合は、資産を差し押さえられる可能性があります。
「給料、家電、雑貨、自動車」など資産価値があるものは差し押さえの対象となります。
高収入を目指すなら派遣社員がおすすめ
アルバイトよりも多く稼ぎたい人は、派遣社員へ転職するのも1つの手です。
最後の章では、派遣社員で働くメリットを紹介します。
平均時給が高い
同職種で比較した場合、アルバイトよりも派遣社員の平均時給の方が高いことが多いです。
アルバイトと比べ勤務先から求められるハードルは高いかもしれませんが、その分仕事で役立つノウハウを多く身に着けられるチャンスもあります。
派遣社員のなかには、雇用期間が定められていない無期社員へ登用されるケースもあるので、同じ職場で長く働き続けたい人は考えてみてはいかがでしょうか?
派遣会社の担当者へ相談できる
働いていると勤務先に言いづらい職場内の人間関係や労働トラブルなどの悩みが出てくることもあります。
派遣社員の場合は派遣会社の担当者へ相談できるため、トラブル時の苦痛が和らぐかもしれません。
まとめ
フリーターでもきちんと納めなくてはならない税金がある、また、一定条件を満たせば払う義務が出てくる税金があることを話してきました。
そして、その支払い方や支払わなかったらどうなるかの話をしたことで、税金を支払うことの重要性が分かっていただけたでしょうか。
フリーターで支払う余裕がなくても、減税や支払い期限に猶予を付けてもらえるので、役所へ相談することが重要です。
国民として支払わなくてはならない税金なので、しっかりと忘れずに支払うように心がけてくださいね。
参考サイト:
- 税金を払う余裕がない人は自分に合う働き方ができる派遣社員を検討してみては?
- フリーターは自分の生活に合わせた働き方ができますが、給料が少ないので税金を払う余裕がないこともあります。
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