セキュリティエンジニアは、最近注目を浴びている比較的新しいエンジニアです。サイバー攻撃が複雑化した現代では非常に頼もしい存在ですが、本稿ではセキュリティエンジニアとして転職するにはどうすればよいのかについて解説します。また、セキュリティエンジニアが活躍できる分野も紹介します。
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TOPICS
セキュリティエンジニアの仕事内容と役割
セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティを専門とするエンジニアです。
企業などにおいて、サイバー攻撃やウイルス感染への対策を行うのがセキュリティエンジニアの仕事です。
この章では、セキュリティエンジニアの具体的な仕事内容と各フェーズでの役割について紹介します。セキュリティエンジニア転職を検討している方にとって、実際の業務内容を理解することは非常に重要です。
セキュリティエンジニアの業務には主に以下の内容があります。
- 企画・提案フェーズでの顧客要件分析とセキュリティ戦略立案
- 設計・実装における技術的なセキュリティ対策の構築
- テスト・脆弱性診断による安全性の検証と改善
- 運用・保守とインシデント発生時の迅速な対応
企画・提案フェーズの業務
企画・提案フェーズは、セキュリティエンジニアの業務の中でも特に重要な工程です。ここでは顧客のビジネス要件を深く理解し、最適なセキュリティソリューションを提案することが主な役割となります。
具体的には、顧客の業界特性や取り扱うデータの重要度、予算制約などを総合的に考慮した戦略的な提案を行います。
例えば、金融機関であれば個人情報保護法や金融庁ガイドラインに準拠したセキュリティ体制の提案、ECサイト運営企業では決済情報保護とDDoS攻撃対策の組み合わせ提案などが挙げられます。
セキュリティエンジニア転職を目指す方は、業界知識と法規制の理解を深めることで、より価値の高い提案ができる人材として評価されるでしょう。
設計・実装の具体的な作業
設計・実装フェーズでは、企画段階で決定した要件を基に、具体的なセキュリティシステムの設計と構築を行います。
セキュリティは単一の製品で実現できるものではなく、ネットワーク、サーバー、アプリケーション、エンドポイントなど複数の層で多層防御を構築する必要があります。
具体的な作業としては、ファイアウォール設定、IDS/IPS導入、OS hardening、WAF設定、EDR/EPP導入などがあります。
クラウド環境では、AWS Security GroupsやAzure Security Center、IAM設定なども重要な業務となります。
セキュリティエンジニア転職未経験の方でも、ネットワークやサーバーの基礎知識があれば、実際の設定作業を通じて専門スキルを身につけることができるため、転職後の成長機会が豊富にある分野ですね。
テスト・脆弱性診断の実施
テスト・脆弱性診断では、構築したセキュリティシステムが実際の脅威から保護できるかを検証し、潜在的な弱点を発見・改善します。
この工程は「設定したから安全」ではなく、実際の攻撃手法に対して有効性を確認する重要な作業です。
ペネトレーションテストでは実際の攻撃者の視点でシステムへの侵入を試行し、脆弱性スキャンでは既知の脆弱性データベースを基にした自動診断を実施します。
WebアプリケーションではSQLインジェクションやXSS等の検査、無線LANでは暗号化設定の確認なども行います。
NessusやBurp Suite、Metasploitなどの専門ツールを使用するため、セキュリティエンジニア転職エージェントを通じて技術研修が充実した企業を選ぶことで、効率的にスキルアップできるでしょう。
運用・保守とインシデント対応
運用・保守フェーズは、セキュリティエンジニアの日常業務の中核を占める重要な業務です。
24時間365日のSOC業務によるログ監視、異常検知時のアラート対応、インシデント発生時の初動対応から復旧作業まで幅広い業務を担当します。
マルウェア感染時の影響範囲調査、脅威インテリジェンスの収集・分析、フォレンジック調査による攻撃手法の分析なども重要な作業です。
また、セキュリティアップデートの計画的適用や月次・四半期のセキュリティ状況報告書作成も行います。
この業務は技術的スキルに加えて冷静な判断力と継続的な学習意欲が求められますが、CSIRTメンバーとしての経験を積むことで、セキュリティ分野での高い専門性を身につけることができ、キャリアアップにつながる貴重な経験となります。
※CSIRT(シーサート)とは、「Computer Security Incident Response Team」の略で、コンピュータセキュリティに関する事故に対応するための専門チームのことを指します。
セキュリティエンジニアに必要なスキルと知識
この章では、セキュリティエンジニアとして活躍するために必要なスキルと知識について紹介します。
セキュリティエンジニア転職を成功させるためには、技術的な専門知識だけでなく、法的な理解も含めた幅広いスキルが求められます。
セキュリティエンジニアに必要なスキルには主に以下の内容があります。
- ネットワーク・インフラの基礎知識によるシステム全体の理解
- プログラミング・システム開発スキルによる脆弱性の深い理解
- セキュリティツールの操作スキルによる実践的な対策実装
- 法規制・コンプライアンスの理解による適切な対応策の立案
ネットワーク・インフラの基礎知識
ネットワーク・インフラの基礎知識は、セキュリティエンジニアにとって最も重要な土台となるスキルです。
システム全体のアーキテクチャを理解していなければ、適切なセキュリティ設計や効果的な対策の実装はできません。
具体的には、TCP/IPやOSI参照モデルの理解、ルーティングやスイッチングの仕組み、LinuxやWindows Serverの構築・運用、AWS・Azure・GCPなどのクラウドインフラ知識が必要です。
また、DMZ構築やファイアウォール設定、VPN構築、負荷分散設計などの実務経験も重要となります。
セキュリティエンジニア転職未経験の方は、まずネットワークエンジニアやインフラエンジニアとしての基礎を固めることがおすすめです。
CCNAやLinuC、AWS認定などの資格取得を通じて体系的に学習することで、転職市場での評価を高めることができるでしょう。
プログラミング・システム開発スキル
プログラミング・システム開発スキルは、脆弱性の本質を理解し、効果的なセキュリティ対策を講じるために不可欠です。
セキュリティの脆弱性の多くは、プログラムの設計や実装上の問題に起因するため、コードレベルでの理解が必要になります。
特にPythonはセキュリティツール開発や自動化スクリプト作成で頻繁に使用され、JavaScriptはWebアプリケーションの脆弱性理解に、PowerShellはWindows環境でのセキュリティ運用に活用されます。
SQLインジェクションやXSS、CSRF、バッファオーバーフローなどの脆弱性の仕組みを理解し、セキュアコーディングの実践も重要です。
セキュリティエンジニア転職を目指す方は、プログラミング未経験でもPythonから始めることをお勧めします。
CTF競技へ参加することで、実践的なスキルを楽しく習得することも可能ですよ。
セキュリティツールの操作スキル
セキュリティツールの操作スキルは、日常業務を効率的に遂行し、高度な脅威に対応するための実践的なスキルです。
現代のサイバーセキュリティ業務では、手動での対応だけでは対処しきれない複雑で大量の脅威に対応する必要があります。
脆弱性診断ツールとしてNessusやOpenVAS、ペネトレーションテストツールとしてMetasploitやBurp Suite、SIEM/SOARとしてSplunkやMicrosoft Sentinelなどの操作に習熟する必要があります。
また、エンドポイント保護のCrowdStrike FalconやSentinelOne、ネットワークセキュリティのWiresharkやSnortなども重要なツールです。多くのツールは無料版や試用版が提供されているため、実際に操作して感覚を身につけることが重要です。
セキュリティエンジニア転職エージェントを通じて技術研修が充実した企業を選ぶことで、効率的にツール操作スキルを向上させることができるでしょう。
法規制・コンプライアンスの理解
法規制・コンプライアンスの理解は、企業のビジネス継続性を守り、法的リスクを回避するための重要な知識です。
セキュリティ対策は技術的な観点だけでなく、法的要件を満たす必要があり、業界ごとに異なる規制要件への適切な対応が求められます。
国内では個人情報保護法やサイバーセキュリティ基本法、業界別では金融庁ガイドラインや医療情報システム安全管理ガイドライン、国際的にはGDPRやCCPAなどの理解が必要です。
また、ISO 27001やNIST CSF、PCI DSSなどのセキュリティ基準への対応も重要な業務となります。
プライバシー影響評価の実施やデータ保護責任者の任命、インシデント報告義務への対応など、実務的な知識も求められます。
法規制は頻繁に改正されるため、情報処理安全確保支援士やCISMなどの資格取得を通じて、継続的に最新の知識を習得することが大切ですね。
セキュリティエンジニアの転職ニーズは高い?
結論からいえば、セキュリティエンジニアの転職ニーズは非常に高いです。その理由について見ていきましょう。
社会のIT化に伴って、サイバー犯罪の手口も巧妙化・複雑化しています。そのため、企業がさまざまなデータを管理するにあたってサイバー攻撃やサイバー犯罪による情報漏洩を防ぐため、情報セキュリティを強化しなければならなくなりました。
今後は、情報セキュリティの重要性がますます高まることが予想されます。一方で、市場においては情報セキュリティ人材が大幅に不足しています。
そのためセキュリティエンジニアは、現在多くの情報を扱う大企業などで必要とされる職種の1つといえます。セキュリティエンジニアは他のエンジニアよりも新しい職種ですが、今後市場における獲得競争が激化すると考えられています。
「採用率アップ! エンジニアのスキルシートの書き方とPR方法」
「エンジニア面接のよくある質問と回答のコツ|対策ポイントも解説!」
「IT・システムエンジニア(SE)志望動機の書き方と例文|未経験者向けの例文も紹介」
でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
セキュリティエンジニアにおすすめな資格
需要拡大が見込まれるセキュリティエンジニアですが、具体的にどのような資格が求められる職種なのでしょうか。
この章では、セキュリティエンジニアのキャリア形成と転職成功に役立つ資格について紹介します。
資格取得は単なる知識の証明だけでなく、体系的な学習の指針となり、転職市場での差別化を図る重要な要素です。
セキュリティエンジニアにおすすめの資格には主に以下があります。早速見ていきましょう。
- 情報セキュリティマネジメント試験
- セキュリティやネットワークの知識・技術が問われる「CISCO技術者認定」
- 世界的に認知される資格「CompTIA Security+」
- 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
- CCNA Security
- CCNP Security
- CCIE Security
- CISSP(認定情報システムセキュリティプロフェッショナル)
情報セキュリティマネジメント試験
1つ目は情報セキュリティマネジメント試験で、IPA(情報処理推進機構)という独立行政法人が主催する国家試験です。
「さまざまなサイバー攻撃の脅威から会社や組織を守るためには、システム面のみならず、人為的な管理の面からも対策が必要である」という思いの下に創設されました。
この試験を通じて、受験者は各種サイバー攻撃から自分の組織を守るためにどのような知識やスキルが必要になるかを習得することができます。
OS・アプリなどハードウェアやソフトウェアに関する知識のみならず、ネットワークに関連するセキュリティの知識やIT技術に関係する法律の理解度も問われる、かなり幅広い内容を網羅している試験になっています。
この資格があれば、組織内でどのような業務フローや管理体制なら情報セキュリティを担保できるかといったことを考えた上で、それを構築できる力があることを証明できるでしょう。
セキュリティやネットワークの知識・技術が問われる「CISCO技術者認定」
2つ目はCISCO技術者認定です。
これは世界的なネットワーク機器ベンダーであるCisco社による認定制度であり、これを持っているとネットワークに関連する知識やそれにまつわるセキュリティについて、一定の理解があることを証明できます。
エントリーからエキスパートまであり、エントリーの資格を持っていれば最低限の知識を有していると評されますし、エキスパートの資格を持っていれば大規模な企業のネットワークの構築や改善をセキュリティの観点からサポートできるレベルがあると見なされます。この認定をセキュリティの分野で獲得することを目指すことをおすすめします。
セキュリティ分野ではエントリーレベルが「CCT」、その次のアソシエイトレベルが「CCNA」、その次のプロフェッショナルが「CCNP Security」、そしてエキスパートが「CCE Security」という資格名になっています。エントリーの「CCT」とアソシエイトの「CCNA」については、その他の分野と統一の資格になっているため、セキュリティに特化したスキルを有していることを証明したい場合は「CCNP Security」以上の資格を獲得するほうが、効果的にアピールできるでしょう。
世界的に認知される資格「CompTIA Security+」
3つ目はCompTIA Security+です。
これはComp TIAという団体が主催する国際的にも信頼度の高い資格であり、セキュリティ人材としてのキャリアを歩もうと考えている人は必ず取得するべき資格といえます。
この資格試験では、サイバー攻撃の脅威に対する基本的な理解度はもちろん、クラウドを含むセキュリティ設計への理解度や、実際にセキュリティ対策の実装スキルを有しているか否かといった幅広い観点からの知識・スキルが評価・測定されます。
この資格の勉強をするだけでも実践の場で役立つ知識・スキルを習得できるため、まずはこの資格を視野に入れて勉強を進めるとよいでしょう。
この試験を受験するためには、Comp TIAのアカウント登録が必要です。セキュリティエンジニアを目指す方やステップアップにおいて、ぜひ挑戦していただきたい資格です。
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
情報処理安全確保支援士は、日本で唯一の情報セキュリティ分野の士業資格として、高い専門性と社会的信頼を証明する最重要資格です。
国家資格としての権威性があり、特に日本企業や官公庁での評価が極めて高く、セキュリティエンジニア転職における最も強力なアピール材料となります。
試験内容には高度なセキュリティ技術、セキュリティマネジメント、法規制対応、最新脅威動向などが含まれ、合格率は例年15-20%程度の難関資格です。
3年ごとの更新制度により最新知識の維持が義務付けられており、継続的な専門性の向上が保証されています。
登録者数は約2万人程度と推定され、希少価値が高い資格です。
実務では、セキュリティ監査、CSIRT構築、セキュリティコンサルティング、技術的意思決定などで活用され、資格取得により年収アップが期待される場合も多く、セキュリティエンジニアとしてのキャリアを本格的に追求する方が必ず取得を目指すべき資格として位置づけられています。
CCNA Security
CCNA Securityは、ネットワークセキュリティの基礎実装スキルを証明するエントリーレベルの実践的資格として、ネットワークエンジニアからセキュリティエンジニアへの転職時に重要な橋渡し的役割を果たします。
シスコのセキュリティ製品を使用した基本的な設定・運用スキルを実証でき、多くの企業で使用されているシスコ機器の操作能力を客観的に示すことができます。
試験内容には、ASAファイアウォール、IPS、VPN、AAA、Webセキュリティ、エンドポイントセキュリティなどが含まれ、CCNAホルダーであれば3-4ヶ月程度の学習期間で取得可能です。
実務では、小中規模ネットワークのセキュリティ設計・構築・運用で活用され、ネットワーク経験とセキュリティ基礎スキルの証明として転職市場で評価されます。
セキュリティエンジニア転職未経験の方で、ネットワークエンジニアの経験がある場合、最初に取得すべき資格の一つとして推奨されていますよ。
CCNP Security
CCNP Securityは、中級レベルのネットワークセキュリティ専門家としてのスキルを証明する重要な資格として、シニアエンジニアやチームリーダークラスへの転職で特に重視されます。
複雑なセキュリティソリューションの設計・実装能力を示すことができ、大規模ネットワーク環境でのセキュリティ実装経験が評価されます。
試験構成は、コア試験(350-701 SCOR)と専門分野別試験の組み合わせとなっており、Email Security、Web Security、Network Security、Cloud Securityなどから選択可能です。
実務では、大規模ネットワークセキュリティ設計、ゼロトラスト実装、クラウドセキュリティ統合などで活用され、年収700-900万円クラスのポジションで特に重視される傾向があります。
大手SI企業、ネットワーク機器販売企業、コンサルティング企業で高く評価され、CCNA Securityを取得し、実務経験を3-5年積んだ後に挑戦することが推奨されています。
セキュリティエンジニア転職エージェントからも中級レベルの専門性を証明する重要な資格として評価されています。
CCIE Security
CCIE Securityは、ネットワークセキュリティ分野における最高峰の技術資格として、エキスパートレベルの実力を証明する世界的に権威ある資格です。
世界で最も難しいIT資格の一つとされ、8時間にわたるラボ試験では実際の複雑な環境での問題解決能力が問われます。
試験構成は筆記試験(350-701 SCOR)と8時間のラボ試験で、合格率は例年10%以下の超難関資格です。
取得者は世界的にも少数で、技術的なリーダーシップやアーキテクト的な役割での活躍が期待され、転職市場では最高レベルの評価を受けます。
実務では、セキュリティアーキテクチャ設計、大規模プロジェクトの技術リード、技術的意思決定などで活用され、CTOやセキュリティ部門責任者クラスへの道筋となります。
取得者特典として、シスコからの技術サポート、専用コミュニティへの参加、年次イベント招待なども提供されます。
10年以上のネットワーク・セキュリティ経験を積み、技術的なリーダーを目指す方に推奨され、取得には2-3年の集中的な学習が必要ですが、キャリアに与える影響は計り知れない資格です。
CISSP(認定情報システムセキュリティプロフェッショナル)
CISSPは、情報セキュリティのマネジメント領域における世界最高峰の資格として、経営層レベルでの専門性を証明する重要な資格です。
技術的な実装スキルよりも、セキュリティガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス対応など、経営的視点でのセキュリティ統括能力が評価されます。
試験内容は8つの知識領域(セキュリティとリスクマネジメント、資産セキュリティ、セキュリティアーキテクチャなど)で構成され、受験には情報セキュリティ分野での5年以上の実務経験が必要です。
維持要件として3年ごとに120時間の継続教育が求められ、常に最新の知識を保持することが義務付けられています。
実務では、セキュリティ戦略策定、ガバナンス体制構築、リスクマネジメント、コンプライアンス対応などで活用され、CISO、セキュリティマネージャークラスでの年収アップに直結する場合が多い資格です。
セキュリティエンジニアから管理職やコンサルタントへのキャリアチェンジを考えている経験豊富な方に最適で、セキュリティエンジニア転職エージェントからも経営層とのコミュニケーションが可能な人材として高く評価される資格です。
セキュリティエンジニアに向いている人
セキュリティエンジニアは比較的最近できた職種なので、「どのような性格や行動特性を持つ人が向いているのかがわからない」という方もいるでしょう。ここからは、どのような性質の人がセキュリティエンジニアに向いているか、いくつか例を挙げて解説します。
自分で新しい技術や知識を勉強できる人
1つ目は、自分で新しい技術や知識を勉強できる人です。
冒頭でも触れたように、近年のサイバー攻撃の手口はどんどん複雑になっています。一見普通のメールに見えるものにウイルスが仕込まれていたといった事例があるように、即座にそれが怪しいものだと判断できないような手口で巧妙に隙をついてくるのが昨今のサイバー攻撃の特徴です。
サイバー犯罪の手口が日々進化しているため、それに対応できるようにセキュリティ側も日々進化しなければなりません。このように常に進化が求められる領域ですから、常に新しい技術や知識をアップデートできる人材は適任です。
最新のニュースや他社事例などを踏まえて、予防に向けた知識だけでなく、インシデントが起きた時の対処法なども学べるような視野の広さも持ち合わせていると、なおよいでしょう。
忍耐強く、最後までやり抜ける人
2つ目は、忍耐強く最後までやり抜ける人です。
インシデントが発生すると、社内外のあらゆる処理が終了するまで仕事が終わりません。社外に情報が漏洩していないか徹底的にチェックしたり、すでに流出している場合は被害を最小限に抑える方法を検討・実行したり、再発防止策を考えて社内に周知したりと、業務は多岐に渡ります。
この業務をスピーディーに捌いていくことが求められるため、負荷が大きくなることがあります。そのため、そのような状況でも最後まで仕事をやり抜けるというのは、非常に重要な要素といえるでしょう。
インシデントがない場合でも企業や組織が情報を扱う限り、インシデントやサイバー攻撃が発生するリスクはゼロにはなりません。そのため、常にプレッシャーや危機感があっても職務の遂行に向けて努力できる人は、セキュリティエンジニアに向いています。
面倒なことから逃げ出さず、最後まで忍耐強くやり切れる人はインシデント対応もでき、普段のから忍耐強く業務を遂行できるセキュリティエンジニアになれる素質があるといえます。
責任感がしっかりしている人
3つ目は責任感が強い人です。
インシデントが起きた際に最後まで仕事をやり遂げることも責任感がないとできませんが、セキュリティに関する一つひとつの業務が、扱い方を間違えれば重大なインシデントにつながり得るという自覚を持って業務にあたることも、平時では重要です。
自分が組織のセキュリティを担う存在であるという強い責任感がある人は、セキュリティエンジニアに向いているといえます。
繰り返しになりますが、昨今のサイバー攻撃は非常に巧妙になっており、「サイバー攻撃を仕掛ける側と企業側のどちらが優位に立てるか」という知恵勝負のような側面があります。
したがって「他社でこういった攻撃があったようだから対策を立てよう」といった受け身のスタンスでは対策が間に合わず、自社がサイバー攻撃を受ける可能性があります。
そのため、日ごろからあらゆることに気を配り、攻撃を受けないためのネットワークづくりを意識して業務を遂行する姿勢も求められます。
論理的思考と問題解決能力がある人
セキュリティエンジニアには、複雑なセキュリティ問題を体系的に分析し、効果的な解決策を導き出す論理的思考力が必要です。
サイバーセキュリティの問題は多くの場合、複数の要因が絡み合った複雑なもので、攻撃の痕跡から攻撃手法を推定し、システム全体への影響を分析し、適切な対策を優先順位をつけて実施する必要があります。
具体的な業務では、インシデント発生時の原因分析、リスクアセスメントにおける脅威の優先順位付けと対策の費用対効果分析、セキュリティアーキテクチャ設計での複数システム間の整合性確保、脆弱性診断結果の分析と修正優先度の決定、複雑な法規制要件の解釈と実装方針の策定などが挙げられます。
論理的思考力は日常的な訓練で向上させることができるため、技術的な問題を分析する際はファイブワイ分析やMECEフレームワークを活用し、セキュリティエンジニア転職エージェントとの面談でも過去の問題解決経験を論理的に説明できるよう準備しておくことをお勧めします。
セキュリティエンジニアの年収はどのくらい?
ここからは、セキュリティエンジニアの年収について解説します。
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、セキュリティエキスパート(セキュリティエンジニアを含む)の平均年収は588.8万円です。一方、Webサイト開発のシステムエンジニアの平均年収は523万円であり、同じITエンジニアという枠組みの中ではセキュリティエンジニアの平均年収はやや高いことがわかります。冒頭で述べたような希少性と需要の高まりが、セキュリティエンジニアの平均年収に影響を与えているようです。
参照元:厚生労働省の職業情報提供サイト jobtag「セキュリティエキスパート」「システムエンジニア」
経験年数別の年収相場
セキュリティエンジニアの年収は経験年数に応じて段階的に上昇し、専門性の高さにより他のIT職種を上回る水準となる傾向があります。
一般的な推移として、セキュリティエンジニア転職未経験者や新卒では年収350万円から450万円程度でスタートし、1-3年目で450万円から650万円、3-5年目で650万円から850万円程度になると推定されます。
5年以上の経験を積むとシニアエンジニアやチームリーダークラスとして年収850万円から1,200万円程度が期待でき、10年以上の経験者ではエキスパートや管理職として年収1,200万円以上も可能とされています。
この昇給カーブの背景には、サイバーセキュリティの重要性が年々高まる中で経験豊富なセキュリティエンジニアが慢性的に不足していることがあり、需要と供給のバランスから高い年収水準が維持されています。
また、CISSPや情報処理安全確保支援士などの資格取得により、それぞれ数十万円から100万円程度の年収アップが期待できる場合もあります。
企業規模・業界別の年収比較
企業規模と業界によってセキュリティエンジニアの年収は大きく異なり、外資系企業や金融業界で特に高水準となる傾向があります。
具体的には、大手外資系IT企業では年収800万円から2,000万円程度(株式報酬含む)、大手日系IT企業やSI企業では600万円から1,500万円程度、金融機関では700万円から1,800万円程度が一般的な水準と推定されます。
コンサルティングファームでは成果連動制を含めて700万円から2,500万円程度の幅があり、大手製造業やインフラ企業では550万円から1,200万円程度となっています。
一方、中小企業やスタートアップでは400万円から800万円程度と年収は抑えめですが、ストックオプションや幅広い業務経験を得られる機会があります。
セキュリティエンジニア転職エージェントとの相談により、年収を最優先する場合は外資系企業や金融業界を、安定性を重視する場合は大手日系企業を、成長機会を求める場合はスタートアップを選択するなど、自分の価値観に合わせた戦略的な企業選択が可能です。
フリーランスと正社員の収入差
フリーランスのセキュリティエンジニアは正社員と比較して高い月単価を得られる可能性がありますが、案件の安定性や福利厚生面でのトレードオフが存在します。
フリーランスの月単価は一般的に80万円から200万円程度(年収換算で960万円から2,400万円)とされ、大手企業のCSIRT構築支援では月単価150万円、金融機関のセキュリティ監査では月単価120万円程度の高単価案件も存在します。
しかし、実質的な年収は月単価に稼働月数を掛けた金額から、営業活動費、スキルアップ投資、機材費、保険料などの必要経費を差し引く必要があり、これらの経費は年収の15-25%程度になると推定されます。
また、案件の継続性については平均3-12ヶ月の契約期間で、年間稼働率は10-11ヶ月程度が一般的です。
セキュリティエンジニア転職未経験者や経験の浅い方は、まず正社員として基礎を固めることが推奨され、5年以上の実務経験と確立された専門分野がある場合にフリーランス転向を検討すると良いでしょう。
「採用率アップ! エンジニアのスキルシートの書き方とPR方法」
「エンジニア面接のよくある質問と回答のコツ|対策ポイントも解説!」
「IT・システムエンジニア(SE)志望動機の書き方と例文|未経験者向けの例文も紹介」
でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
セキュリティエンジニアが活躍できる分野
この章ではこれまで取り上げてきたセキュリティエンジニアが、実際にどのような分野で活躍できるのか、いくつか具体例を挙げて解説します。
ITサービス・システム開発企業
ITサービス系の業界では、システムやアプリなどの設計において必ずセキュリティチェックが行われるため、このような分野ではセキュリティエンジニアが活躍できる場面は多いでしょう。
多様な顧客向けにシステム開発を行うため、様々な業界のセキュリティ要件に触れることができ、幅広い技術スキルと業界知識を習得できますよ。
具体的には、NTTデータや富士通などの大手SI企業での社会インフラシステムのセキュリティ設計、AWS・Microsoft・Googleなどのクラウドベンダーでのセキュリティサービス開発、メルカリ・LINE・サイバーエージェントなどのWeb系企業でのWebアプリケーションセキュリティなどがあります。
年収レンジは500万円から1,500万円程度と推定され、プログラミング、システム設計、ネットワーク、クラウド技術などのスキルが求められます。
セキュリティエンジニア転職未経験者には最も推奨される分野で、大手企業では研修制度も充実しており、セキュリティエンジニア転職エージェントを通じて未経験歓迎の案件を見つけやすい特徴があります。
ITサービス・システム開発企業は、セキュリティエンジニアにとって最も豊富な経験を積める分野であり、キャリアの基盤形成に最適ですね。
金融業界(銀行・証券・保険)
金融業界は最も厳格なセキュリティ要件が求められる分野であり、高い専門性と責任感を持つセキュリティエンジニアが活躍する場面も非常に多いといえます。
金融機関は顧客の資産情報や取引データを扱うため、セキュリティインシデントが経営に直結する重大な影響を与える可能性があり、金融庁をはじめとする規制当局からの厳しい監督下にあります。
具体的には、三菱UFJ・三井住友・みずほなどのメガバンクでのネットバンキングセキュリティ、SBI証券・楽天証券などのネット証券でのオンライン取引プラットフォームのセキュリティ、各種保険会社での顧客データ保護などがあります。
主要業務には不正検知システム開発、金融庁ガイドライン対応、サイバー攻撃対策、監査対応などが含まれ、年収レンジは600万円から1,800万円程度と推定されます。
情報処理安全確保支援士、CISA、CISMなどの資格が高く評価される傾向があり、金融庁ガイドラインなどの法規制知識を事前に習得し、コンプライアンス重視の姿勢をアピールすることが転職成功の鍵となります。
Eコマース・ネット通販業界
Eコマース・ネット通販業界は顧客データと決済情報の保護が事業の生命線であり、実践的なWebアプリケーションセキュリティスキルを活かせる成長分野です。
金融領域に少し似ている部分がありますが、ECサイトでは決済情報を取り扱うため、決済情報や顧客情報を保護する観点からセキュリティが重要視されています。
こういったニーズに応えることは、まさにセキュリティエンジニアの仕事といえますね。
具体的には、Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングなどの大手ECサイトでのプラットフォームセキュリティ、ZOZO・ユニクロオンラインなどの専門ECでのWebアプリケーションセキュリティ、メルカリ・ラクマなどのフリマアプリでのユーザー間取引の安全性確保、PayPay・LINE Payなどの決済サービスでのモバイル決済セキュリティなどがあります。
主要業務にはWebアプリ脆弱性対策、PCI DSS対応、不正検知システム、セキュリティ監視などが含まれ、年収レンジは500万円から1,200万円程度と推定されます。
Web開発経験がある方やモバイルアプリケーションに興味がある方に適した分野で、PCI DSSなどの国際規格への対応経験は他業界への転職でも高く評価される傾向があります。
セキュリティベンダー・専門企業
これは少し観点が異なりますが、セキュリティ製品を取り扱うベンダーでもセキュリティエンジニアが活躍できる場があります。
例えば、製品の脆弱性の検査や実際に製品を販売する際の営業サポート、導入先企業への教育などがあるため、セキュリティエンジニアとしての専門性を活かせる分野です。
セキュリティ製品の開発・提供や専門コンサルティングを行うため、最新の脅威情報や対策技術に日常的に接することができ、様々な顧客企業のセキュリティ課題を解決することで、幅広い業界知識と高度な技術スキルを同時に習得できますよ。
具体的には、トレンドマイクロ・シマンテック・マカフィーなどの大手セキュリティベンダーでの製品開発、NRIセキュアテクノロジーズ・ラックなどの専門コンサルでのセキュリティコンサルティング、イエラエセキュリティ・BSKなどの脆弱性診断専門企業でのペネトレーションテスト、IIJセキュリティ・NTTコミュニケーションズなどでのSOCサービスなどがあります。
専門業務にはセキュリティ製品開発、脅威分析、インシデント対応、セキュリティ監査などが含まれ、年収レンジは550万円から1,500万円程度と推定されます。
技術の最先端に触れられる、専門資格取得支援が充実している、業界ネットワーク構築ができるなどの特徴があり、セキュリティ分野で真の専門家を目指す方に最適です。
製造業・自動車業界
製造業・自動車業界は、IoTやコネクテッドカーの普及により新たなセキュリティ領域として急速に成長しており、OT(制御技術)セキュリティの専門家に高い需要があります。
工場の自動化やスマートファクトリー化により、従来の物理的に隔離された制御システムがネットワークに接続されるようになり、サイバー攻撃の標的となっている状況があります。
また、自動車業界では自動運転技術の発展により、車載システムのセキュリティが安全に直結する重要課題となっています。
具体的には、トヨタ・日産・ホンダなどの自動車メーカーでの車載システムセキュリティ、三菱重工・川崎重工などの重工業での産業制御システムセキュリティ、パナソニック・ソニーなどの電機メーカーでのIoT機器セキュリティ、ファナック・安川電機などの産業機械での工場自動化システムセキュリティなどがあります。
専門領域にはOTセキュリティ、車載セキュリティ、IoTセキュリティ、産業制御システム保護などが含まれ、年収レンジは550万円から1,200万円程度と推定されます。
制御系エンジニアや組み込み系エンジニアの経験がある方には特に適した分野で、従来のITセキュリティに加えて制御技術やハードウェアの知識を活かせる希少な専門領域として、将来的に高い市場価値を持つ可能性があります。
官公庁・自治体
官公庁・自治体は国民の重要な情報を守る社会的使命を担う分野であり、安定性と公共への貢献を重視するセキュリティエンジニアに適した職場環境になります。
政府情報システムや自治体システムは国民生活の基盤となるインフラであり、サイバー攻撃の標的となりやすい重要システムを扱うため、個人情報保護法をはじめとする法規制への厳格な対応が求められます。
具体的には、内閣サイバーセキュリティセンターや各省庁の情報システム部門、NISC・IPAなどの独立行政法人でのサイバーセキュリティ政策・技術研究、東京都・大阪府などの大規模自治体での行政システムセキュリティ、日本年金機構・健康保険組合などの特殊法人での個人情報保護システムなどがあります。
主要業務には政府システムのセキュリティ監査、サイバー攻撃対策、法規制対応、政策立案支援などが含まれ、年収レンジは400万円から700万円程度と推定されます。
社会貢献度が高い、安定した雇用、法規制への深い理解が身につくなどの特徴があり、安定性と社会貢献を重視し、長期的なキャリア形成を望む方に適していますね。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームは、セキュリティエンジニアが最も高い年収と多様な業界経験を得られる分野であり、将来的な独立や経営層への転身を目指す方に最適です。
大手企業の経営層に対してセキュリティ戦略の提案を行うため、技術的な専門性に加えてビジネス視点でのコミュニケーション能力が身につき、短期間で多数のプロジェクトを担当することで様々な業界の深い知識と人脈を構築できますよ。
具体的には、デロイト・PwC・KPMG・EYなどの大手総合コンサルでのサイバーセキュリティコンサルティング、アクセンチュア・IBMなどのIT専門コンサルでのセキュリティ変革プロジェクト、ガートナー・フォレスターなどでのセキュリティ戦略アドバイザリー、NRIコンサルティングなどのブティック型での特化型サービスなどがあります。
主要業務にはセキュリティ戦略策定、リスクアセスメント、ガバナンス構築、CSIRT設立支援などが含まれ、年収レンジは700万円から2,500万円程度と推定されます。
高い年収、多様な業界経験、ビジネススキルの向上、将来の独立可能性などの特徴があり、高い年収と将来的なキャリアアップを重視する方に最適ですが、厳しい成果主義と長時間労働の環境に適応できる能力が必要で、セキュリティエンジニア転職エージェントを通じて各ファームの特色や求められる能力を事前に詳しく調査することが重要です。
セキュリティエンジニアのキャリアパスはどう考える?
最後に、セキュリティエンジニアのキャリアパスについて解説します。セキュリティエンジニアのキャリアパスとしては、以下のようなものが挙げられます。
セキュリティエンジニア(スペシャリスト)
これはエンジニアとしての専門性を高めて現場の最前線で働き、自身の能力をいかんなく発揮していくというキャリアパスです。
マネジメントにあまり関心がない場合は、このように現場で働くキャリアが考えられます。
サイバーセキュリティの技術領域は年々複雑化・多様化しており、マルウェア解析、フォレンジック、クラウドセキュリティ、ペネトレーションテスト、脅威インテリジェンス分析などの特定分野での深い専門知識を持つエキスパートへの需要が高まっています。
年収レンジは700万円から1,600万円程度と推定され、経験を積むにつれて大幅な年収アップが期待できます。
必要な資格としてはGIAC系資格、CEH、OSCP、各クラウドベンダー認定などがあり、5-15年程度のキャリア期間で最高レベルの専門性を確立できます。
技術志向が強く、特定領域を深く追求したい方に適したキャリアパスで、セキュリティエンジニア転職未経験者は、まず広く基礎を学んだ後、興味のある専門分野を見つけて特化することをおすすめします。
継続的な学習と実践経験の蓄積により、業界でも数少ない真のエキスパートとして認知されることで、高い年収と安定したキャリアを築くことができますよ。
セキュリティマネージャー
マネージャーはエンジニアとしての実務経験を活かし、現場で働く部下や若手エンジニアを統括し、チームリーダーとして業務を推進する立場です。
エンジニアとして現場で経験を積んだ後、現場を離れて後輩の育成やチームの統括といったマネジメント経験を積みたい場合は、このようなキャリアパスが考えられます。
企業のセキュリティ投資が拡大する中で、技術的な理解とビジネス視点を併せ持つマネージャーの需要が急増しており、技術者とビジネス側の橋渡し役として幅広く関与します。
具体的には、情報セキュリティ部門長、CSIRTマネージャー、セキュリティプロジェクトマネージャー、SOCマネージャーなどのポジションがあり、年収レンジは800万円から1,800万円程度と推定されます。
必要なスキルにはチームマネジメント、予算管理、リスクマネジメント、ステークホルダーとの調整などがあり、セキュリティエンジニアとして5-10年、マネジメント経験2-5年程度が必要とされます。
CISSP、CISM、PMP等のマネジメント系資格も重要な要素となります。
技術的な専門性を持ちながら、チームを率いて組織全体に影響を与えたい方に適しており、セキュリティエンジニア転職エージェントとの相談により、マネジメント候補ポジションを狙った転職戦略を立てることが重要です。
CISO(最高情報セキュリティ責任者)
CISO(セキュリティエグゼクティブ)は、セキュリティエンジニアのトップと考えてよいでしょう。
セキュリティエンジニアが従事する業務全般について、最終的な責任を負う立場です。
マネージャー経験を活かして、トップマネジメントを志す場合に狙うキャリアパスといえます。
デジタル化の進展とサイバー脅威の高度化により、経営レベルでのセキュリティ戦略が重要になっており、取締役会への報告や他の役員との連携など、企業経営の中核に関わる責任を担います。
年収レンジは1,500万円から5,000万円以上と推定され、企業規模や業界により大きく変動しますが、特に大手企業や金融機関、グローバル企業では高い報酬が期待できます。
主要業務にはセキュリティ戦略策定、取締役会報告、規制当局対応、危機管理、予算統括などが含まれ、セキュリティ分野で15年以上、マネジメント経験10年以上が必要とされます。
CISSP、CISM、MBA等の経営系学位も有効で、経営視点、コミュニケーション力、危機管理能力、国際感覚などの重要能力が求められます。
CISOを目指すには長期的なキャリア戦略が必要で、セキュリティエンジニアからマネージャー、部門長を経て段階的にステップアップし、MBA取得や他部門での経験も積むことで経営感覚を身につけることが重要です。
セキュリティコンサルタント
セキュリティコンサルタントは、マネージャーとして職位を上げていくような職種とは異なり、企業の経営層などに対してセキュリティの専門家として意見を呈したり、サポートを行ったりする職種です。
セキュリティエンジニアとしての経験をもとに、それをより具体的な形で他の人に還元したいと考える方や、対人コミュニケーションを重視する仕事がしたいという方は目指すべきキャリアパスといえるでしょう。
企業のセキュリティ課題は多様化・複雑化しており、内部だけでは解決困難な問題が増えているため、外部の専門知識と客観的な視点を求める企業が多く、経験豊富なコンサルタントへの需要は高まり続けています。
大手コンサルファームでは年収1,200万円から2,500万円程度、セキュリティ専門コンサルでは800万円から2,000万円程度、フリーランスコンサルタントでは月単価100万円から300万円程度が一般的とされています。
主要業務にはセキュリティアセスメント、ガバナンス構築、CSIRT立ち上げ、コンプライアンス対応などがあり、リスクマネジメント、ペネトレーションテスト、フォレンジック、規制対応などの専門分野があります。
問題解決能力、プレゼンテーション、プロジェクト管理、業界知識などのスキルが求められ、5-10年の実務経験後にコンサルファームへ転職またはフリーランス独立するのが一般的なルートです。
多様な業界経験と高い年収を求める方に適したキャリアパスで、プレゼンテーション能力やビジネススキルの向上も重要な要素となります。
セキュリティアナリスト
セキュリティアナリストはセキュリティコンサルタントと同様に、現場からマネージャーに上がっていくようなキャリアパスではありません。
実際にサイバー攻撃があった際に、どのような方法で攻撃が行われたのかを分析する職種です。
アナリストの働きによってサイバー攻撃の全容が解明され、それに基づいて対策が行われるため、非常に重要な役割を担います。
セキュリティアナリストは「エンジニアとしての経験をフル活用し、高度な問題解決にチャレンジしたい」という方が目指す職種といえます。
具体的には、SOCアナリスト、脅威インテリジェンスアナリスト、マルウェアアナリスト、インシデントレスポンスアナリストなどのポジションがあり、年収レンジは600万円から1,500万円程度と推定されます。
主要業務にはログ分析、脅威検知、インシデント調査、レポート作成、対策提案などが含まれ、データ分析、プログラミング、ネットワーク知識、脅威理解などのスキルが必要です。
SIEM、SOAR、各種セキュリティツール、データ可視化ツールなどの分析ツールの習熟も重要で、AI・機械学習技術の活用により新しい分析手法も生まれており、技術的な成長機会も豊富です。
データ分析に興味があり、論理的思考が得意な方に適しており、セキュリティエンジニア転職未経験者でも、データアナリストやシステムエンジニアの経験があれば転職しやすい分野です。
セキュリティアーキテクト
セキュリティアーキテクトは、企業全体のセキュリティ設計を担当する高度な技術職であり、技術的専門性と設計能力を最大限に活かせるキャリアパスです。
デジタルトランスフォーメーションの進展により、企業のITアーキテクチャは複雑化しており、セキュリティを考慮した全体設計の重要性が高まっています。
具体的には、エンタープライズセキュリティアーキテクト、クラウドセキュリティアーキテクト、アプリケーションセキュリティアーキテクト、ネットワークセキュリティアーキテクトなどのポジションがあり、年収レンジは900万円から2,200万円程度と推定されます。
主要業務にはセキュリティ要件定義、アーキテクチャ設計、技術選定、設計レビューなどが含まれ、システム設計、複数技術領域の深い理解、要件分析、ドキュメント作成などのスキルが求められます。
セキュリティエンジニアとして7-12年、設計経験3-8年程度が必要とされ、技術的な深い理解とビジネス要件の両方を満たす設計ができるアーキテクトは希少価値が高く、高い報酬が期待できます。
技術的な設計が好きで、システム全体を俯瞰して考えることができる方に適しており、複数の技術領域にわたる幅広い知識と詳細設計から全体アーキテクチャまでの設計スキルが必要で、大規模プロジェクトでの設計経験を積むことが重要なステップとなります。
セキュリティエンジニアになる方法・転職の進め方
この章では、セキュリティエンジニアになるための具体的な方法と効果的な転職の進め方について紹介します。
転職を成功させるためには、自分の現在の状況に応じた適切なアプローチと戦略的な準備が重要です。
セキュリティエンジニアになる方法・転職の進め方には主に以下の内容があります。
- 未経験からの転職ステップ
- IT経験者からの転職ポイント
- 転職エージェント・サービスの活用法
- 職務経歴書・面接でのアピール方法
未経験からの転職ステップ
セキュリティエンジニア転職未経験からの転職は、体系的な学習と実践経験の蓄積により十分に実現可能ですが、6ヶ月から1年程度の準備期間が必要です。
学習ステップとして、まず1-3ヶ月でITパスポートや基本情報技術者試験により基礎知識を習得し、次に2-4ヶ月で情報セキュリティマネジメント試験でセキュリティ基礎を学習、その後3-6ヶ月でCompTIA Security+やネットワーク関連資格で実践知識を習得すると良いでしょう。
同時に、CTF競技への参加、仮想環境でのセキュリティツール操作、技術ブログ執筆などの実践経験を積むことが重要です。
学習時間の目安として、平日2-3時間、休日5-8時間程度の継続的な学習が必要で、投資費用は書籍・教材費10-20万円、受験料5-10万円、学習環境構築費5万円程度と推定されます。
転職活動では研修制度が充実した企業への応募や、派遣からの正社員登用、プログラミングスクール経由の就職支援などを活用することで、未経験者でも転職成功の可能性を高めることができますよ。
IT経験者からの転職ポイント
IT経験者からセキュリティエンジニアへの転職は、既存スキルの棚卸しとセキュリティ特化の知識習得により、比較的短期間で実現可能です。
ネットワークエンジニア、システムエンジニア、インフラエンジニアなどの経験は、セキュリティエンジニアの基盤となる重要なスキルであり、既にIT基礎知識があるため、セキュリティ特化の知識習得に集中できます。
具体的なキャリアパスとして、ネットワークエンジニアからネットワークセキュリティ専門家、システムエンジニアからアプリケーションセキュリティエンジニア、インフラエンジニアからSOCアナリスト、開発エンジニアからセキュリティアーキテクトなどがあります。
学習期間は3-6ヶ月程度でセキュリティ特化知識を習得でき、年収は既存職種から50-200万円程度の向上が期待できる場合があります。
転職活動では、自分の専門分野とセキュリティを組み合わせた専門性を構築することで高い市場価値を実現でき、技術的な深さとセキュリティへの応用可能性を具体的にアピールすることが効果的です。
転職エージェント・サービスの活用法
セキュリティエンジニア転職エージェントにおいては、専門特化型エージェントと大手総合エージェントを併用し、それぞれの強みを活かした戦略的活用が転職成功の鍵となります。
専門特化型エージェントには、サイバーHR、レバテックキャリア、マイナビIT AGENTなどがあり、業界知識の深さと技術的理解が特徴です。
一方、大手総合エージェントには、リクルートエージェント、doda、パソナキャリアなどがあり、求人数の多さと企業とのネットワークの広さが魅力です。
効果的な活用戦略として、専門エージェント2-3社と大手エージェント1-2社の組み合わせが推奨され、月1-2回の定期面談で市場動向と求人情報をアップデートすることが重要です。
エージェント選択時は担当者の専門知識レベルを確認し、自分の技術的背景を理解できるエージェントを選ぶことが重要で、転職活動開始3ヶ月前から登録し、情報収集とキャリア相談を開始することで、より効果的な転職活動が可能になりますよ。
職務経歴書・面接でのアピール方法
セキュリティエンジニア転職における職務経歴書と面接では、技術的専門性、学習継続性、問題解決能力の3点を具体的なエピソードで示すことが最も効果的です。
職務経歴書では、「脆弱性診断により特定の脆弱性を発見し、修正により年間数万円から数百万円の潜在損失を回避」といった数値化できる成果を可能な限り記載することが重要です。
技術スキルの証明として、GitHub上でのセキュリティツール開発、CTF競技での入賞実績、技術ブログでの情報発信などの具体的な活動を示し、学習継続性については資格取得履歴、勉強会・カンファレンス参加実績、最新技術への取り組みを明記します。
面接では、インシデント対応での迅速な原因究明、セキュリティ改善提案とその効果測定などの問題解決事例を具体的に説明できるよう準備し、基本的なセキュリティ概念、脅威分析手法、具体的なツール操作経験についての技術質問に対応できるようにしておくことが重要です。
また、実際に構築したセキュリティ環境やツール、分析レポートのサンプルをポートフォリオとして準備し、なぜセキュリティ分野を選択したのか、どのような社会貢献をしたいのかの志望動機を明確化しておくことで、より説得力のあるアピールが可能になりますよ。
まとめ
セキュリティエンジニアは、昨今のサイバー攻撃の複雑化によって需要が拡大している職種です。企業のあらゆるセキュリティの番人のような役割なので、勤勉で忍耐強く責任感の強い方に向いています。
セキュリティエンジニアとしてキャリアアップと転職を検討している方は、転職エージェントを利用することをおすすめします。
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よくある質問
セキュリティエンジニアの需要は高いですか?
はい。高いと言えるでしょう。情報セキュリティの重要性がますます高まることが予想される一方で、市場においては情報セキュリティ人材が大幅に不足しています。詳細は「セキュリティエンジニアの転職ニーズ」で説明しているので確認ください。
セキュリティエンジニアが活躍できる分野を教えてください。
はい。「ITサービス系」「金融」「ECサイト」「セキュリティベンダー」などがよくあげられます。詳細は「セキュリティエンジニアが活躍できる分野」で説明しているので確認ください。